2013年06月13日

しげ脳vol.217「この国の誇れるもの〜沖縄独立論に想うこと〜」

5月に琉球の独立を目指し研究や議論を深める
琉球民族総合研究学会が立ち上がり、
開かれたシンポジウムに250名が参加するなど
県内外で琉球独立論が巻き上がっています。

賛否さまざまな意見が主張される中、
安里会長の感じることをうかがいました。


しげ脳vol.217
「この国の誇れるもの
〜沖縄独立論に想うこと〜」




編集)この頃、私の周りでよく「沖縄独立論」を耳にしますが、会長の周りはいかがですか?東京に行った時も言われました。

うん、そうだね。一つ考えたいんだけど、
この国の一番誇れるものってなんだと思いますか?

編集)ええーーと、、なんとなく平和で一律に豊かなことでしょうか。

あとは?

編集)私の周りでいうとみんな協調性があって思いやりがあります。人がいいです。

それはB型が紛れ込んでないからだな(笑)

編集)いえいえ、私の仲間は自己中心のB型だらけです(笑)

例えばね、この国の誇れるものはなんですかと聞くと
物作り文化や武士道精神、天皇制、
豊かな自然、人の思いやり…とかね
語り尽くせばきりがないぐらい
人それぞれの目線があると思います。

僕もすべて日本の誇れるものだと
同感するんですが、
一番誇れるものはなにかって言うと
宗教の対立と民族紛争が
ないことがだと思うんですよ。


世界中の至るところで、宗教や民族の違いから
自国民同士で争ってる。
世界の紛争には両土問題とか既得権もありますが、
圧倒的に数が多いのはこの2つ。
国の中で血みどろの争いをしているわけじゃないですか。
殺し合わなくてもいいのにって思いながら
1回始まると止まらないんだよ。
だから冒頭で朝子(編集者)が言ってた琉球独立論に対しては
僕は強いシグナルを送るね。

編集)会長の周りでも沖縄独立を唱える方はいらっしゃいますか?

いや、最近いろんな媒体を通して目にするんですが
なんか、ちょっと…怖い空気が流れてるんだよ。
物事に取り組むにあたって沖縄は一つだ、
っていうのは大事だと思うんだ。

だけどね、そこにアイデンティティが
あることはいいんですが
それがナショナリズムになっちゃいけんと思う。
そうなると差別、区別につながっていく。


今を生きる人間はまだいいんですよ。
でも、一つの対立軸ができてしまうと
それだけでいろんなことが噛み合わなくなってしまうんです。
沖縄は歴史的にいろんなことがあって、
辛い経験もしてきた。
それでも懐深く、
幸せも悲しみも苦しみも飲み込みながら
歯を食いしばって生きてきたわけです。
僕はそれが沖縄の魅力だし本当の強さだと思うんだ。
大交易時代に遡って琉球の歴史を紐解いても
先人達は生きるためにいろんな国と
万国津梁という精神(*)のもとに
交易を果たしてきたじゃない。
そこには対立を超越した
あたたかいメッセージがあると思うんだ。
僕は政治的なメッセージを投げる立場ではないですが、
この種のメッセージは投げるべきでもないと思う。
だから発言を慎んできたつもりだけど

例えばオール日本 対 オール沖縄っていう
対立軸をつくったら僕はね、
後世に対して死んでも死にきれない。


沖縄を東ティモールのようにしたいのかって。
常に対話をしていく。
仮想敵国をつくるんじゃないんだよ。
感情をぶつけて拳を振り上げると、そこで何が起きる?
僕はものすごく怖い。

(*万国津梁とは、「世界の架け橋」という意味。1458年、第六代琉球国中山王が戦乱の続いた国内の安定を願い建立した天尊廟のために鋳造した巨鐘に銘記させた文章の一部で、平和的共存を目指した琉球王国の精神を表す言葉となっている)

編集)対等になるための独立ってできないのでしょうか。

立場論じゃなくて向き合うんだよ。
感情とか怒りで対峙すると
戦争しかないんだよ。
だから現実から逃げずに
現実と向き合う、相手と向き合う。


外交交渉にオール・オア・ナッシングなんてないわけですから
ひとつひとつ向き合って
ひとつひとつ解決していく。
敗北ってのはそれをやめた時に生まれるわけでしょ。
何十年かかろうが何百年かかろうが対話を続けていく。
その先にしか未来って作れないと思うんだ。
今、独立を唱えてる方にはどこまで
腹をくくっているか、
先々を考えてるか、投げかけてみたいです。



イラク戦争が終わったあとにイラクの外交官の方々と
ディスカッションする場があっただけど、
彼らは自己紹介する時に
「この方はクルド人です」と紹介するわけ。
同じ国にいながらお互いに線を引いているわけ。
そこにものすごく違和感を感じてさ。
沖縄をそうしたいのか、と問いたいですね。
僕らの先輩方、特に戦争を経験された世代は
沖縄出身っていうレッテルを貼られていろんな差別をされて
すごく悔しい思いをして、コンプレックスを持ってる。
でも今の20代のコたちはコンプレックスなんてないし
むしろ自信を持ってるんだよ。
それを花咲かせるのは僕ら大人の責任だと思うんだよ。
これを怒りに向かわせちゃいけない。
例えば中国と日本の関係は今、緊張感があるわけでしょ。
でも沖縄の人は怒りをぶつけてない。
対話でなんとかしようよって言う方が多い。
すばらしいことだよね。
じゃあなんで日本政府やアメリカ政府には怒りをぶつけるの、って。
もっと懐が深い沖縄であってほしい。
じゃなきゃね、あの戦争の苦しみを耐えてきた方々、
すべて飲み込んで歩み続けてきた先人に
申し訳ないなって思うね。
少なくとも未来に大きなツケを残すことはやめたいと思うので
ノスタルジックになるんじゃなくて
現実を見据えたうえで
これからを冷静に判断できる大人でありたい。
そんなウチナーンチュに僕は、なる。

[聞き手:コピーライター 幸喜朝子]

posted by 安里繁信 at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | しげ脳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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