2012年07月26日

しげ脳vol.174「本質の議論〜いじめ問題の報道から考える〜」

昨年10月、滋賀県大津市の中学2年生の男子生徒が
自ら命を絶ってしまってから9ヶ月。
いじめが原因として遺族が加害者を訴える中、
学校側や市教育委員会の対応など様々な点が問題となっています。

同じように中学生の子を持つ親であり、
また、小学生時代にいじめを受けたこともあるという安里会長に
お話を伺いました。


しげ脳vol.174
「本質の議論〜いじめ問題の報道から考える〜」


編集)今、すごくいじめが問題になっていますね。安里会長は県の教育委員をされたこともありますが、どういう思いでこの問題を見てらっしゃいますか?

うん…僕も子を持つ親として
胸の痛い思いをしてるんですけど…
自殺してしまう前になんかしてやれんかったかなぁ…と思うね。
僕も小学校の低学年の頃いじめに合っててさ。

編集)そうなんですか!てっきりいじめる側かと思ってました。

いやいやいや、貧乏だったからね。
新興住宅に住んでたから
隣近所は公務員をされてる家庭が多くて。

編集)かちっとした職業の方が多い中で運送屋ってのは異質だったんですね。

うん…。

編集)その時は子供心に辛かったんですか?

なんで僕だけこんな思い
しなきゃいかんのかなぁって感じてましたね。
でもいじめられてるって親にも言えねぇし。

編集)なんで親や先生に言わなかったの、って言う方もいますが、話すのはきっとすごく勇気がいりますよね。子どもながら難しいと思います。

自分の小さなプライドがあるんだよな。
心配かけたくないって気持ちと
気づいてほしいって気持ちと
強くならなきゃって気持ちと…葛藤しちゃうんだよ。
僕もいじめられてたからそういう気持ちも分かるし。
でも最近はネット上のいじめもあったりして、
いじめが陰険になってる気がしてる。

編集)そうですね…昔と比べられるものじゃないですが陰湿な気がしますよね。傍観者もいますし。

あの頃も傍観者はいたよ。
ただ、一人の尊い犠牲者が出て初めて
社会問題になること自体が悲しいし。
それに、メディアも校長とかその学校だけが
悪いみたいな論調でみんなで叩くでしょ。
まるでリンチみたいに。
あれもちょっと違うと思うんだよ。
先生を叩いて追い込んで、
じゃあ問題の解決につながるかっていうと
そうでもないと思う。
これはなにも大津の学校だけで起こった問題じゃなくて
どこでも起こりうる危険性がある。

これからの対応を
どうしていくかっていう
全体のこと、
僕らの子どもが
通ってる学校も含めてだよ、
我が事として受け止めていかないと
どっかひとつを
叩いて終わるっていうだけじゃ
だめだと思うね。


編集)そういうメディアの姿勢はいじめと同じ構造かもしれないですね。

うん、同じ弱い者いじめのような気がするな。
そうして魔女狩りみたいに犯人捜しをして
ターゲットが決まったらそこに対して
集中的に攻撃する、っていうやり方でしょう。
これは逆に問題を表に出しづらい状況を
社会全体が作ってしまっている気がするね。

編集)よけい本質を見えにくくしてるんですね。

そうそう。
本質が見えなくなってしまう。

編集)なんですかね、組織のあり方に深い問題がある気がします。記者会見を見てても学校側は責任を取りたくないように見えますし。

うん、そういう場面しか報じないしな。

編集)なるほど、そうですね。お互い責任を押しつけあって本当の解決に向かわない。亡くなられた方の親御さんは本当、苦しいでしょうね。

自分の子どもが自ら命を絶ってしまったら…
僕は自分を責めるだろうなぁ…。
前にお笑い芸人の河本のお母さんが
生活保護を受けてるのが問題になったことがあったじゃないですか。
あれも河本だけを叩くために報じてる雰囲気だった。
それに似てる気がするんだよな。

編集)問題自体ではなく、個人を攻撃するやり方ですね。

だいぶ前だけど江角マキコさんが
国民年金の広告に出てたのに
本人が年金を払ってなかったのも叩かれていた。

編集)そういえばありましたね。…なんですかね、この体質。

だからね…。
池に落ちた子犬をみんなで棒で叩いてる、
そんな印象を受けるね。
落ちる前はかわいい、かわいいって
ちやほやしてるんだよ。
でも足を踏み外して
池に落ちると汚れちゃうわけじゃない。
そうするとみんなで棒で叩いて殺しちゃうんだよ。

編集)なんで落ちてしまったかは関係ない。

そう、叩いて終わる。
こういう社会って怖いよ。

編集)誰にまわってくるかも分からない…。

僕にも回ってきたしね(笑)
怖いぞ〜。
本当は学校を叩いて終わる話じゃないんだよ。
バスの事故でもそうじゃん。
高速バスで事故起こしたらこの会社が悪いって
事務所の責任追及して終わりでしょ。
それも大事だけど本来は
なぜこういう事態が起こったのか
もっと掘り下げて社会全体で
解決しないといけない課題ってあるはずなんだよ。
そこを確認しないままに終わってしまってる。

編集)誰かをバッシングしてなんとなく事件が終わって、また次の事件が起きて…いたちごっこですね。

学校側の言い分、教育委員会の言い分、
あとは学校の先生方の言い分、それの繰り返し、
誰が悪いかという繰り返しじゃなくてさ
なぜこういうことが起こって、
今後どう対応していくべきかっていう
本質をもっと論じるべき。
なんかね、どうもすっきりしない。
この先生方を叩いて終わればことは解決するのか?
犠牲者を出してしまったという現実の中でね
第二、第三の犠牲者を出さないためにどうするべきかを
本来、もっと論じるべきだと思うんだよね。
先生が言った言わないとか…
因果関係がどうとか…
もう起こっちゃったんだから。
起こったことを正面から受け止めて
社会全体でちゃんと議論していかんと。
大人がしっかりしなきゃいけないと思いますね。


[聞き手:コピーライター 幸喜朝子]

posted by 安里繁信 at 10:27| Comment(0) | TrackBack(0) | しげ脳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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